Case study顧客企業様の事例紹介

<ビッグローブ様>お客様の「よろこび」を創る 使い勝手の良いUI/UXへのこだわり

2024.10.24

検索技術基盤Spook Travel

フォルシアが創業以来提供しているSpook(スプーク)は、各企業が独自に持つ膨大で複雑なデータに合わせて、最適な検索を実現するための「技術基盤」です。各社の課題を解決してきた知見を集積した共通基盤をライセンス提供して、大量で複雑なデータを保持するお客様のサービスを支えています。

今回は、旅行の宿泊プラン横断検索サービスBIGLOBE旅行を展開するビッグローブ様にお話をお聞きしました。企業のWebサイト刷新ご担当の方にご参考にしていただければ幸いです。

今回お話を聞いたお客様
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ビッグローブ株式会社
リアライズ事業本部 直販営業部
直販第2グループ
グループリーダー
松原 努様

リアライズ事業本部 直販営業部
直販第2グループ
シニアプロフェッショナル
縄手 真人様

リアライズ事業本部 直販営業部
直販第2グループ
間瀬 剛様

※ 所属はインタビュー当時のものになります。

ビッグローブ旅行について

― 貴社のご紹介をお願いします。

当社は老舗のインターネットサービスプロバイダ事業者です。インターネット黎明期と呼ばれる頃からサービスを展開しています。それと同時に、Webメディアの運営も続けていまして、BIGLOBEのポータルサイトやその他さまざまなメディアを運営しています。Webメディアは会員の方以外にもサービスを提供しています。BIGLOBE旅行もそのうちの一つのメディアで、当社が提携する旅行会社の宿泊プランを横断検索できるサービスです。

― BIGLOBE旅行にフォルシアの検索技術基盤Spookを導入していただいてから14年が経ちます。サービスを取り巻く変化はありましたか?

BIGLOBE旅行に横断検索を導入した2010年当初は、独力でシステムを開発しようとしていました。そんなときに紹介を受けたフォルシアさんのシステムを見て、衝撃を受けました。とにかく速い。そこに感銘を受けてSpookを導入しました。
横断検索を始めた当初は旅行プランの横断検索サービスはまだそれほど多くはなかったですが、どんどん他社の類似サービスが台頭してきました。それに伴って、お客様もオンラインで旅行予約をするという行動に慣れてこられて、「賢い活用」をされるようになってきました。

― お客様の旅行予約の「賢い活用」とは?

オンラインでの旅行予約の手軽さから、「予約の取り直し」をするお客様が増えてきました。弊社が独自に約1,000名にアンケートしたところ、6割の方が「予約の取り直し」の経験があるという回答でした。それくらい多くの方が当たり前のように行っています。「価格がより安いプランを見つけたから」という理由のほかに、「本当はオーシャンビューの部屋に泊まりたかったから」「もっと駅の近くの宿がよかったから」というより好条件を求める理由もあります。お客様には様々な理由での予約変更のニーズがあるということがこの10数年でよくわかってきました。
あともう一つ、近年のインバウンドツーリズムの増加によって、国内の人気の宿が予約しづらくなりました。そうすると、国内のお客様は「いつ宿の空きが出るのか」ということを非常に気にされます。このような、「求める条件を満たしたプランへの予約変更」や「人気の宿が空いたら予約」に対応するソリューションとして、「宿みっけ」というサービスを昨年から開始しました。

― 「宿みっけ」はどのようなサービスなのでしょうか。

「宿みっけ」は、お客様が旅行会社、および宿泊施設の公式サイトで予約したとき届く予約完了メールを転送すると、BIGLOBEが提携している16社以上の旅行会社・宿泊施設の公式サイトから、お客様の求める条件のプランを数時間ごとに確認し、該当するプランがみつかった場合にお客様へ通知するサービスです。
Spookの技術を使って自動でプランを探し続けて、みつけたタイミングでお客様にお伝えしています。予約したプランと同じ条件で安いプランがあったときにも通知できるため、よりお得に旅行をしたいというお客様のニーズにも応えています。直近半年で会員数も2倍に増え、今年8月にはテレビ東京のビジネス番組「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げていただきました。

― より良い条件を求めるお客様のニーズを満たすサービスですね。フォルシアはこちらのサービスのどのような部分に貢献できたのでしょうか。

Spookを活用してデータを取りに行く、ということのほかに、名寄せ前の宿名で検索できるようにしてもらいました。これはどのようなものかと言うと、前述の「宿みっけ」というサービスでは、旅行会社から届く「ABCホテルの予約が完了しました」という予約完了メールをBIGLOBEに転送していただくのですが、そのメールの中身を当社が解析するんですね。宿名は「ABCホテル」だと。
実は、宿名というのは表記ゆれが結構ありまして、これまでは表記ゆれのことを名寄せという形で当社の方で統一していました。しかし、たとえば、「ABCホテル」に鍵括弧が入っているケースと入っていないケースがあったり、「何月何日オープン」と宿名に付加情報が入っていたり、とこちらで把握しきれないような様々な表記ゆれが存在します。それらの名寄せをする前のデータ、つまり旅行会社から送られてきた表記「ゆれ」の部分をデータとして取得しておくことで、メール解析や検索の精度が上がってくるのです。これまでは、当社で名寄せをした宿名でしか検索できなかったのですが、フォルシアさんに16社分は少なくともオリジナルデータがあるので、それらを活用できるようになって精度が向上しました。「何で検索で引っかからないのかな?」が解消されましたね。

― お客様からの反響はありますか?

はい、おかげ様でお客様からはUI/UXに定評があります。今年、当社のサービスを利用されているお客様に対してインタビューを行いました。その多くの方が5-10年は使ってくださっているお客様です。そんな皆さまが声を揃えて言ってくださっているのが、「UI/UXがとにかく使いやすい」ということ。当社のBIGLOBE旅行はWebとアプリのUIをそれぞれ分けています。それはなぜかと言うと、アプリにはアプリならではの良さがあるという考えを持っているからです。アプリ専用のUIを設けて、使いやすくて、レスポンスが速く戻ってくるような仕組みを提供しています。それが結果的に、「BIGLOBE旅行のUI/UXは使いやすい」という一定の声をいただく要因だと考えています。

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フォルシアの印象

― 弊社は14年もの長い年月、BIGLOBE旅行を支援させていただいています。フォルシアの社員に対しての印象を教えてください。

フォルシアの担当の方々には、私たちでは気が付かない問題点や改善点に気づいていただいて、そこからさらに提案していただいたり、「解消しておきました」というように先に進めておいていただいたりすることもあり、本当に助かっています。
システム的な提案だけでなくて、私たちの立場で「お客様に喜ばれるためには」と考えた提案をくださっていたエンジニアの方も大変印象に残っています。
このようなことも含めて、フォルシアさんにはコミュニケーションを取りやすい方が多いです。若い方も中堅の方も営業担当の方もエンジニアの方も漏れなく。「エンジニアはコミュニケーションが苦手」と世間一般では思われているようですが(笑)、フォルシアさんのエンジニアは単なるエンジニアではなくコンサルのイメージに近いです。きちんとやり取りができて、こちらの依頼で言葉が足りない部分も想像して補って返答してくれて、コミュニケーションのストレスやミスがないです。

― 「大きなシステム障害を起こしたことがない」と小耳にはさみましたが、実態はどうなのでしょうか?

はい、これは声を大にして感謝を伝えたい部分ですね。少なくともここにいるメンバーがBIGLOBE旅行の開発を担当してからの10年は、大きな障害は起こっていません。Spookは現在、BIGLOBE旅行の基幹のシステムなので、Spookが止まってしまうとお客様が予約できないという事態になります。我々のビジネスとしては大変な問題に直結するのですよね。
それがこの10年、一度も障害で長時間止まったことがないんですよ。その間にもサーバーの移行も、機能開発もしているのですけど、その中で障害が起きていないというのは、目立たないことですが、実はとてもすごいことだと思います。きちんと品質や保守をしていただいているということが、ただただ素晴らしいです。

― たくさんフォルシアのことをお褒めいただきありがとうございます。反対に、現在のWebサイトで改善したい点はありますか。

それもたくさんありますよ(笑)。BIGLOBE旅行上ではプランの在庫がある、とページに表示されるけれども、旅行予約サイトに飛んでクリックしてみると在庫がない、という事象がたまに発生します。リアルタイムでつなげているわけではないのでタイムラグがあるわけなのですが、これを極力なくしたいというのが一つ。
あとは、前述した「宿みっけ」のサービスにおける、キャンセルが出たり価格が下がったりしたらお知らせするという部分に関して、データの更新頻度を高めたい。というのがもう一つですね。
データ関連の話でもう一つ、旅行会社の施設のデータが正しいのかわからないことがあります。施設の部屋の禁煙/喫煙可の情報や住所が誤っていることも。もう少し正しいデータにしていくために、我々も直接旅行会社のデータを見に行っているわけではなくてすべてフォルシアさんにお願いしてしまっているということもあるので、その中から「ここのデータが使える」というものを教えていただけると嬉しいです。

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今後の展望

― 今後のビジネスの展望を教えてください。

フォルシア導入した当初は横断検索自体が十分な競争力を持っていました。そこから時を経て、競合サービスもお客様の習熟度も含めて、横断検索だけでは競争力としては不十分な世界になってきています。それでは、これからどうしていくかと言うと、「付加価値の創造」がテーマになると考えます。
BIGLOBE旅行というサービスの、全体を見ている当社と、SI的な部分で開発を担当しているパートナー、そしてSpookで基幹システムを支えてくれているフォルシアさん。これから「付加価値の創造」が必要な場面においては、これらのビジネススキームを超えたパートナーを目指していけたらと思っています。
過去には、フォルシアさんと協業したSaaS型宿泊比較サービスもありました(※ 20246月にサービスを終了)。終わったことを惜しむのではなく、次は何を一緒にできるのか、という視点でフォルシアさんと一緒に考えられたらと思います。

― 最後に、メッセージをお願いします。

「つながる歓び、つなげる喜び」。これは当社の企業理念です。当社のビジネスにおいては、私たちではなく、サービスを提供したお客様がたの成功が私たちの喜びになる、ということが主体です。私たちの企業理念がそうであるということを念頭におくと、インターネットがつながるだけではなくて、お客様同士であったり、お客様とサービスであったり、企業様とお客様だったりと、様々なものをつなげていくことが私たちの使命だと考えています。フォルシアさんとのパートナーシップも含めて、そのようなつながりをどんどん持っていきたいし、それを通じてお客様へ様々なつながりをもたらす、そんな存在でありたいと改めて思っています。
その結果、お客様の「あー、よかった」と言う回数が増えたらそれはきっと良い人生でしょうし、「つながった結果良かった」という社会は良い社会でしょう。そのような社会を目指して引き続き皆さんと一緒にビジネスを展開していければと考えています。

 

企業プロフィール
ビッグローブ株式会社


BIGLOBEは、常にお客様視点に立ち、自由な発想で新たなサービス価値を創造し続けるISP事業者です。インターネットを介して、さまざまな人々や情報をより良いかたちで結びつけること。そして、お客様それぞれの「やりたい」を実現し、リアルライフ、リアルビジネスの革新に貢献することがミッションです。

ホテル・旅行の格安予約サイト「BIGLOBE旅行」
https://travel.biglobe.ne.jp/