社会人1年目の自分に送るアドバイス集
検索プラットフォーム事業部エンジニアの伊藤です。
突然ですが、皆さんは「入社1年目」の頃に自分がどんなことを感じ考えていたか、覚えていますか?
入社の回数は人それぞれにせよ、「環境が変わった最初の年」の出来事というのは、様々な気づきや発見、はたまた戸惑いがあり、印象に残っているのではないでしょうか。
また、いま振り返れば、
- 当時は自分のここが未熟だったな
- こういう心構えさえあれば、あのときの仕事はもっとやりやすかっただろう
- 実は他の人も、自分と同じところで躓きがちなようだ
と思うこともあるのではないでしょうか。
そんな経験をまとめて、今年の半ばに社内で「入社1年目の自分に送るアドバイス集」を作成しました。
フォルシアが「新入社員がより早く・効果的に真価を発揮して活躍できる組織」になるために、
- 自分たちの学びを新入社員の学びにつなげることができたら
- 既存社員の側も入社当時の初心を思い出すことで、新入社員へのよりよいアプローチを探ることができたら
という想いでフォルシア入社1年目の社員に向けて作成し、私以外の社員にも追記してもらったものです。
今回は、その中から新社会人向けかつ業種や職種に問わず活用できそうなものを、3つほど抜粋してご紹介します。
題して、「社会人1年目の自分に送るアドバイス集」です。
社会人1年目の自分に送るアドバイス
1. 果敢に質問せよ
陥りがちなパターン
「自分で調べること・考えることが大事」「質問するときは『自分はこう考えますが、いかがでしょうか』という訊き方を」とよく言われます。
これらは大事な基本姿勢である一方で、実際の仕事の場面では訊かないとわかりえないことも多々あるもので、「自分で考えよう」という基本姿勢をすでに持ち合わせている人にとっては、「早く訊いた方がいいこと」をさっと質問して素早く解決することの方が案外難しいことであったりします。
特に経験がないことに取り組むときほど、「質問すべきこととそうでないことの境界線」を判断する手持ちの材料がないものです。
自分自身を振り返っても、「自分で考えなければ力がつかないのでは」「もう少し調べればわかるかも」と思うあまり、質問のタイミングが遅れてしまい、小さなことで長らく躓いてしまったことがありました。
「質問しようにも何がわからないのかわからない」という言葉はプログラミングを習得し始めたエンジニアからしばしば聞かれますが、質問しやすい環境があったとしても、「こんなことを訊いたら能力がないと思われてしまうのでは?」など、質問するまでには小さな心理的ハードルがいくつかあるものと思います。
アドバイス
「早く訊いた方が圧倒的によいこと」があることを心に留め、質問・相談した方がよいことはささっと質問して、時間をロスしなくて済むようにしよう。そのためには「それは自分で考えて」と言われるくらいでちょうどよい。
質問するにあたってハードルを感じることがあるなら、質問の仕方を工夫しよう。何に困っているかを的確に相手に伝え、自分が求めている回答を引き出すスキルを身につけていこう。
- 以下いずれかに当てはまったら、相談すべきタイミングと判断しよう
- 「何がわからないかがわからない」と思ったとき
- 「考えているのではなく悩んでいる」と思ったとき
- 「20分間で前に進めた感覚がない」と感じたとき
- 「仮説を立てて取り組めていない」と感じたとき
- 正解がある問題で、自分より圧倒的に早く答えにたどりつける人が身近にいるとき
- 質問のタイミングがつかめず、質問のタイミングが遅れがちであるなら
- 最初に相談して、毎日15分や週2回1時間など定期的に質問のスケジュールを確保してもらおう
- 求めるアドバイスを得るために
- なぜわざわざその人に相談しているのかを伝えよう
- 「経験がある人の観点での意見が聞いてみたいです」
- 「xxさんはyyに詳しいと聞いたので伺いました」
- 「検討違いな方向に進んでいないか不安になったので、今の段階で一度アドバイスをいただきたいです」
- なぜわざわざその人に相談しているのかを伝えよう
- 「自分で考えるべきことを訊いてしまうのではないか」と不安なら
- 「自分で考えるべきことなのかどうかからしてわかりません」とそのまま伝えよう
- 「考えればわかることでしょうか」と訊いてみよう
- わからなさすぎて、どう質問してよいかわからないときは
- まずは「xxで糸口をつかめず困っています。何がわからないのかも上手く説明できないかもしれませんが、相談に乗ってもらえませんか」と伝えよう
- 「こんなこともわからないなんて」と思われてしまうのでは、という不安があるなら
- まず、それは単に自分のエゴだと認識し、ここまでに自力では対処しきれなかった現実を受け入れよう
- ここまでに自分がどう取り組んだのか、いま困っているポイントが何なのかを(すぐできる範囲で)的確に伝えよう
- それによって理解度が相談相手に伝わると共に、欠けている部分を補ってもらいやすくなる
- 「自分で考えないと力がつかないのでは?」と思うのであれば
- 調べ方や考え方を相談しよう
- 「このような方針で調べようと思いますが、どうでしょうか」
- 「それはどこからわかりましたか」
- 「それがわかるためにはどのような基礎知識が必要でしょうか」
- 調べ方や考え方を相談しよう
- 「相談相手に負担をかけてしまうのでは?」という心配があるなら
- 「もしすぐにわかることであれば教えてください」と添えよう
補足
いくつかのアドバイスの共通点として、「自分の状況を的確に伝える姿勢」が大事だと感じます。
皆目わからないなら皆目わからないで、相談相手となる人は質問者がそのような状態にあることに早く気づけた方が嬉しいということも、実際の仕事の場面では多いのではないでしょうか。
また相談相手も、1から10までを時間をかけて説明しようと思っているわけではなく、質問者に欠けている考え方や前提知識の部分だけを補おうとしているもので、質問者の状況が相談相手によく伝われば伝わるほど、相談の時間を効果的に使うことができるように思います。
その会社に長くいる社員にとっては、新たに入社した人からの率直な疑問は、社外の視点に触れられるという点で、それまでに身につけてしまったパラダイムを破るきっかけにもなります。
私も気づけばフォルシアには長くいる方の人間になり、新たに入社した社員にはたくさん質問して新しい風を吹かせてもらいたいと願いつつ、自分自身いつでも質問を歓迎する姿勢を保てているか・もらった問いかけに真摯に向き合えているか、省みていかなければなと思う今日この頃です。
2. 仕事は想定より膨らむもの。最初に誤差を減らそう
陥りがちなパターン
仕事とは想定より膨らむものです。特に経験の少ない領域の仕事や、経験のない現場での仕事のときほど、着手時点でやるべきことを少なく見積もってしまいがちです。
私自身、何度も「仕事とは想定より膨らむものだ」の痛い目にあっていますが、ある程度慣れた仕事であっても少し状況が変わるだけで「想定外のタスク」というものは出てきます(そういう意味では、もはや入社5年目の今の自分にも送りたいアドバイスです)。
自分にとって未知度合いの高い仕事をやっていて、
- 気がついたらスケジュールに遅れていた
- タスクは後から後から増えるばかりで、間に合っているのかいないのかわからない
という状況に遭遇したことがある方は多いのではないでしょうか。
一方で、「自分にとっても周囲の人にとっても全く未知・不確定要素が大きい」というタイプの仕事でない限り、仕事の引き受け方を工夫するだけで、見積と実際のタスクボリュームの誤差は大きく減らすことができるのもまた真です。
アドバイス
仕事は必ず想定より大きいものであるということを念頭に置き、仕事を引き受ける段階で、自分のイメージと実際のタスクボリュームの間の誤差はできる限り潰しておこう。
- アウトプットの確認は念入りに。依頼者やチームメンバーと確認しよう
- 「どういう状態になったらその仕事は終わりなのか」に関する認識は意外と人によってぶれやすい
- 「それもやってくれるものだと思ってました」「それもお願いしたと思うんですけど」
- 課題を解決するだけではなく、「結果を文章にまとめて提出」「それが承認される」までが仕事であることも
- 成果物が何になるか、その成果物はどのようなフォーマットで表現されるべきか、にも言及し、アウトプットをできる限り具体性高く・客観性高く整理しよう
- 「どういう状態になったらその仕事は終わりなのか」に関する認識は意外と人によってぶれやすい
- 期限・スケジュールの確認は念入りに。依頼者やチームメンバーと確認しよう
- アウトプットと抱き合わせで、それが「いつまでに」必要なのかも同じくらい重要
- たいていの仕事には、最終期限だけでなく中間期限がある。最終的な期限を守れそうでも、中間期限を守ることが厳しそうであれば調整しよう
- 「いつでもいい」「お手すきの時に」と依頼された仕事であっても、期限が存在しないわけではない。引き受ける前にこちらから「いつまでにやろうと思いますがそれで大丈夫でしょうか」と確認しよう
- まずは仕事を引き受けるタイミングで、依頼者や周囲の有識者の見立ての所要時間を聞いてみよう
- 仕事の内容について何か大きな誤解をしている場合は、その時点で自分のイメージと他の人が言う数字に大きな乖離が出て、気づくことができるはず
- 方針やスケジュールを、依頼者や周囲の有識者にレビューしてもらおう
- 大きなタスクをどう中・小タスクに分割しマイルストーンを引くか、というところがもっとも自由度が高く、難しい
- ゆえに、ここで一度チェックポイントを設けることができると、誤差を大きく減らすことができる
- 初めに方針の確認ができることで、「そもそも方針が間違っていてすべてやり直し」となることも防ぐことができる
- 引き受ける前に、その仕事についての確認・調査時間をもらおう
- アウトプット・スケジュール・タスクボリュームの確認にも、一定の時間が必要になる
- その確認結果によっては「自分がやっても間に合わない」「その仕事により多くの時間を割り当てられる人がやった方がいい」という結論になる可能性もある
- 確認できるまでは、引き受けられるかどうかはわからないので、「xxまでに内容を確認してみるので、その時に判断させてください」「タスクボリュームが明らかになったタイミングで進め方を再相談させてください」といった受け方をしよう
補足
「仕事の引き受け方で、見積と実際の誤差を減らす」という観点でアドバイスを書いてきましたが、最初は必ず何かしら転ぶものです。そのような場合の備えとしては、
- スケジュールを見直す日をスケジュールに入れよう
- 自分だけだと遅れていてもずるずるそのまま進めてしまうものなので、周囲の人に「xx日に大丈夫か確認してください」と声をかけておこう
というアドバイスが挙がっていました。
3. 「早くやる」ことは意外と簡単なわりに恩恵が大きい
陥りがちなパターン
「速くやる」ことにはスキルも経験も必要です。一方で、「早くやる」ことは、「速くやる」ことに比べると比較的簡単にできます。簡単というのは、心がけと工夫次第でできる、ということです。
私自身は昔から「ちょっと億劫なこと」を先延ばしにする癖があり、この「早くやる」というのがとても苦手だったのですが、仕事を通じて早くやることのメリットを理解するうちに、早くやることを心がけるようになりました(まだまだ胸を張って「できる」と言えるレベルには達していませんが・・・)。
「仕事は想定より膨らむもの」ともリンクしますが、どんなに簡単そうな仕事も、意外と「1回やれば終わり」ではありません。例えば「3週間後のパーティーのためのお花を準備する」という簡単そうに見える仕事であっても、
→いざ注文しようとして、どんな花がよいか確認していなかったことに気づく
→依頼者に確認したが、話がまとまらないようで、2日待っても回答がない
→回答を催促したところ、冬場にも関わらずどうしてもひまわりを飾りたいとのこと
→冬にひまわりの取り扱いがある店を探し始めるが、予算内で用意できる店が見つからないまま1日がすぎる
→造花のひまわりで代用する案を思いつくが、依頼者が2日間の休暇に入っており、確認が取れない
→依頼者が戻ってから確認しては間に合わないので、予算内でひまわりの取り扱いがある店を必死で探す
などとやっていると、あっという間に時間が経ってしまいます。また、早く取りかかっていれば簡単だったかもしれない仕事が、先延ばしして取り組んだことで、最後には難しい仕事に変わっています。
期限までに確実に終えるためには、期限直前ではなく早めに取り組んでいる必要があります。
アドバイス
「早く」やろう!
- スケジュールに貢献しよう
- 依頼主を待たせない・催促させないだけでも、喜ばれるものであり、信頼を少しずつ積み上げていくことができる
- どんな仕事も想定外の問題に遭遇するものだが、早期に問題を洗い出すことができれば、問題に対処しやすくスケジュールを守りやすくなる
- 仮に希望に沿えないと判明する場合も、それをごく初期に伝えることができる方が末期に伝えるよりも貢献度が大きくなる
- 十分でなくてもよいので、早く伝えよう
- 一次回答だけでも、あるのとないのとで相手の安心感は変わる
- 何事も、あとになればなるほど「いまさら言い出しづらく」「いまさら訊きづらく」なるもの
- 「どう伝えようか」と少し躊躇してしまうようなことほど、所感や事実だけでも早く伝えた方が後の事の進展がよくなることが多い
- 10分足らずの仕事はその場で片付け、TODOリストを増やさないようにしよう
- 「やらないといけないこと」がたくさんあると、どうしても気が散って仕事の効率は落ちてしまいがち
- 小さな仕事はすぐにやってしまえば、TODOリストに追加して管理するコストが不要になるとともに、やり忘れてしまうリスクがなくなる
補足
私自身がそうだったのですが、早くやった方がよいことを早くやりたくても、早くやるだけの余裕がないことがあるかもしれません。そのようなときは、
- そもそもやろうとしていることが多すぎて消化不良に陥っている可能性
- 1度後手に回るとそのあとの仕事が玉突きになって、抜け出せないスパイラルに陥っている可能性
があります。そのようなときは、一度仕事の棚卸しをしてみましょう(これも当事者になると状況を客観的に見ることがなかなか難しくなるものなので、周囲の助けを借りながらやるとよいでしょう)。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
「入社1年目の自分」に向けたアドバイスなので偉そうに書きましたが、「今の自分は偉そうにアドバイスできるほど実践できているだろうか」とアドバイスがそのまま自分に跳ね返ってきて、耳が痛い箇所が多々ありました。
個々人のスキルアップはもちろんですが、フォルシアという組織としても「新入社員がより早く・効果的に真価を発揮して活躍できる組織」であれるよう、今後も努力していきたいと思います。
伊藤 亜紀
2015年新卒入社。検索プラットフォーム事業部 エンジニア。
大手旅行会社のアプリ開発を担当。